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米国で新型コロナワクチンを接種した日本人医師に聞く。2020 年 12 月 16 日(FNN プライムオンラインより抜粋)

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21 年こそは新型コロナウイルスの収束へ。 その「希望の光」となりえるのか-。 イギリスに続き、感染者世界最多のアメリカでも 12 月 14 日、ファイザー社などが開発した 新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。 「接種に先立ち病院からサイトのリンクが送られ、接種後アンケ―トに回答することで健康 状態の追跡が可能となる」 FNN は、このワクチンの接種を受けた日本人医師に話を聞くことができた。 ファイザーのワクチンといえば、日本政府も既に 1 億 2000 万回分の供給を受けることで合意 している。 ほかの予防接種との違いは? 留意すべき点は? そして日本が参考にすべき「追跡調査システ ム」とは? 今、最も気になるワクチンの詳細を聞いてみた。 「もう終わり?」コロナワクチンの“量” 15 日夕方、テキサス小児病院感染症科の池田早希医師は、勤務先の病院でワクチン接種を受 けた。池田医師は、翌日から病棟勤務となるため、この病院での接種初日に投与が決まっ た。池田医師は他のワクチン同様、体調に変化がないか経過を観察するため、30 分ほどその 場で待機。 ワクチン接種から一時間後に FNN の取材に応じてくれた。 池田早希医師: 体調には問題ないですね。やっと待ちに待ったワクチンなので接種できてう れしかったです。 ワクチン接種の感想を「待ちに待った」と表現した池田医師。 他の予防接種と手順に違いはあったのだろうか? 池田早希医師: 手順や接種は普通のワクチンと一緒です。今回投与したファイザーのワクチ ンは 0.3 ミリリットルですが、インフルエンザワクチンなどのワクチンより量が少ない。個 人差はありますが、私の場合、薬液がしみることもありませんでした。もう終わったのか、 あっという間、という感じでした。 ワクチン接種後、生活で気をつけることはありますか?入浴などはしても良い? 池田早希医師: 基本的には通常どおりの生活で大丈夫で、お風呂も大丈夫です。以前から言 われていることは、免疫を獲得するための反応が出てくることもあります。特に 2 回目の接 種のあとに熱や疲労感、頭痛が生じることがあります。2 回目の後は仕事を休めるようにす るとか、念のための措置をとるほうがいいとも言われています。 池田医師もインタビューの際は、特に痛みは感じていなかったが、接種から 4 時間ほど経つ と、腕に痛みが出てきた。しかし、これらの反応は、免疫ができつつある証拠なので、特に 心配する必要がないという。 ワクチン接種後に身体にどのような反応が出るのか、事前に医師の説明をよく聞き、冷静に 対応する必要がありそうだ。 2 例えば、ワクチンの接種後に発熱した場合はどうすべきなのか。 現在日本では、「発熱したら出勤しない、人と接触しない」というのが基本的な考え方とな っている。 池田さんはこの点についても、さらに検討が必要だと指摘する。 池田早希医師: 私たちの病院でも、ワクチン接種後に発熱の症状が出た場合、出勤していい のかどうか、現在議論されているところです。 携帯メールで追跡「気分はどう?」 今後日本でも接種が見込まれている新型コロナウイルスのワクチンだが、日本でも行政レベ ルで、参考にすべき課題が見えてきた。 池田医師には、接種に先立ち、病院から V-safe と いうサイトのリンクが送られてきた。そこにアクセスし、ワクチン接種予定者が名前と携帯 番号、接種する日時、さらにどの製薬会社のワクチンを接種するのかを入力する。現段階で はファイザーのみだが、アメリカではまもなくモデルナ社のワクチンも承認される見込み だ。いつ、どこでどのようなワクチンを打ったのか、基本データを管理することで、異なる ワクチンの併用など誤用を未然に防ぐことができる。 また、接種した後にも、池田医師の携帯にメールが届いた。そこに記載されているリンクに 飛び、「気分はどうですか」「発熱や倦怠感などの症状はありませんか」などのアンケート に回答していく。 これらは CDC=米疾病対策センターが開発したシステムで、ワクチン接種 の安全性をモニターする仕組みだ。副反応などワクチンの影響を即座に把握できるだけでな く、今後接種者が増えた際、どれくらいの人に症状が出るのか、などの大規模な追跡調査も 可能になる。 更に、2 回目のワクチン接種のタイミング(ファイザーワクチンであれば 3 週 間後)も知らせてくれるというものだ。池田医師は、「日本にワクチンが導入された後も、 保健所職員がすべて電話で追跡調査をするのは無理が生じる。こういった自動化システムは 必要だと思う」と語る。 救える命-ワクチンは“希望” 池田医師の病院では、ワクチン接種の初日である 15 日は「お祝いムード」に包まれていたと いう。接種会場に並ぶ廊下は、カラフルな風船でデコレーションされ、一様に明るい雰囲気 だった。 この「お祝いりムード」というのは、裏を返すと、これまで医療関係者や患者が、想像を絶 する苦労や悲しみを経験してきたことの証だ。「パンデミックの“終わりの始まり”が来た かもしれない、希望が見えたかもしれないという雰囲気だった」と池田医師は話す。 池田医師自身も、新型コロナウイルスに感染した子供たちの治療にあたった。勤務する病院 で、感染した子供が命を落とした、という知らせに接するたび、心を痛めてきたという。 池田早希医師: すでにアメリカでは 30 万人亡くなっているので、ワクチンがもっと早くあっ たら失わずにすんだ命があるとおもうと心が痛みます。ワクチンがあったら防げたかもしれ ない命があったと、(これまで)つらい思いをしていたので。 ワクチンを「現段階では接種したくない」という人もアメリカでは一定程度いるのは事実だ が、“集団免疫”を獲得し、パンデミックから脱するには、できるだけ多くの人が接種を受 けることが重要だと、池田医師は強調する。 3 池田早希医師: どんな治療法もワクチンもリスクがゼロというものはないですが、現在たく さんの人がコロナで命を落としていて、多くの人の生活が脅かされていいます。 ワクチンはわたしたちにとって希望です。接種する機会が与えられた人は、より積極的に接 種してほしいと思います。


執筆:FNN ニューヨーク支局 中川眞

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